でありますから中島先生もあまり賛成じやないようですが、緒方先生にしても、外国の人によつて永井博士の価値が教えられて初めて目がさめる。お二人の名前を申し上げて申訳ないのでありますが、日本国民の多数がそうであると思うので、こういう問題は中島先生のごとき日本一流の批評家というものは、世界的規模について考えてもらいたいと思います。あなたのそれに対する心がまえを伺います。
実は原子爆彈によつて永井博士はああいう病気になつたのではない。彼は長崎医科大学の教授として、レントゲンの研究をしているうちに、博士があまりその研究に熱心であつて学長からも、先輩からも、同僚からも注意された。お前はそんなことをやつていると、余命幾ばくもない。そういう注意を受けておるにかかわらず、彼は暗室にとじこもつてその研究を続けた。それがために、お前の命はもう二、三年しかない、こう宣告された。
その原子爆彈によつて永井博士が身体をそこなわれたのかどうかということも、今のお言葉によりますと、表彰の重大なるポイントになつておるのですが、厚生省の方でそういうことに対する克明な御調査がありましたら承りたいと思うのであります。
從つて永井博士が科学者として大したものでないということは、基礎調査の中にも現われておりますが、むしろ彼の科学者としての業績は、今言つた人たに比べればはるかに低い。從つてもし國会がこれを表彰するならば、今私があげました三名の医学者諸君、特に湯川秀樹博士のごときは、当然これを國会がその権威と責任において、眞に全世界の前に誇るべき学者であるということを強調せざるを得ない。
これはまつたくの誤解であつて、永井博士は実はあのレントゲンの研究によつて、先ほど神山君が申されましたが、長時間あの暗室に入つて研究を続け、学長に注意され、先輩に注意され、同僚に注意されたにかかわらず、その研究を過度にやりましたために、白血球と赤血球のバランスを失つて、お前の余命はもう三年であるという宣言を下されたのであります。